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『アイデアのヒント』アイデアの基本を面白く理解する

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アイデアのヒント
『アイデアのヒント』

アイデア本のバイブルといわれている、ヤング著『アイデアのつくり方』があります。
アイデアの「基本となる考え方・手順」が、短い内容でシンプルに書かれているので、とてもわかりやすい本です。

しかし、シンプルすぎて逆に理解しずらいのが欠点ともいえます。
もっとより理解できるように、具体的な内容や例がほしかったりするが、そういうことは書かれていない。やはり、内容を理解するには、そのようなものが欲しいところ。

そこで登場するのが、今回紹介するジャック・フォスター著『アイデアのヒント』

内容としては、ヤングの『アイデアのつくり方』をベースとして、さらに具体的な内容や例で、よりわかりやすくアイデアの基本について学べます。
ヤングの『アイデアのつくり方』を読んだ後に、読んでおきたい本です。

そして、いろんな人の引用や、実際に仕事や講師をしていた時の体験談をまじえた話が、わかりやすいですし、とても面白く読み進めることができます。さすが、広告にたずさわっていただけあって、伝え方が上手い!また、大学で講師をしていただけあって、教え方が上手い!

個人的にはヤングの本より、こちらの本が私にとってはバイブルとなっています。

『アイデアのヒント』とは

著者は、ジャック・フォスター。
大手の広告代理店を勤め、多数の大手企業の広告を担当し、いくつもの広告賞を受賞。
また、広告(またアイデア)について、大学で講師をしていた経験もあり。
原著は1996年発行で、日本語版は2003年発行。

本の内容

内容は、個人的に大きくわけると下記のようになります。

  • アイデアとは何か?(1章)
  • アイデアを考える前の心の準備(2~7章)
  • アイデアの考えるテクニック(8~9章)
  • アイデアを考える手順(10~14章)

ヤングの『アイデアのつくり方』との内容の違いとしては、「心の準備」と「テクニック」という項目があります。

心の準備」は、そんなの意味あるのか?と思いがちですが、逆に考えると「アイデアを考える際のよくある失敗」という内容ともいえ、注意をうながしています。

テクニック」は、基本的なアイデアの考え方のヒントが書かれています。よくあるテクニック本みたく、たくさんのテクニックがあるのでなく、基本的なものだけがヒッソリとのってます。これを活用するだけでも、全然違ったものになるでしょう。

そして、「アイデアを考える手順」ですが、ヤングのアイデアを考える手順をベースにしてますが、1つだけ手順が違います。手順の始めに、「問題を考える」という手順が追加されています。問題を解決するためにアイデアを考えますが、そもそもの問題をどこに置くかが大事だといっています。

このように、基本はヤングの考え方・手順をベースにしてますが、もちろんジャック・フォスター氏のノウハウもつまった内容となっています。

面白かったところ

本の内容は、面白いところがたくさんあります。
面白いというのも変なのですが、この本は「面白から、わかりやすい!」。
いくつかの面白かったところを、紹介したいと思います。

圧倒的な質問量

著者の広告代理店時代のエピソード。
ベーコン会社からの依頼をうけ、上司と打ち合わせに行きました。
そして、上司が仕事にかかる前に二、三聞きたいことがあるのですがといい、社長にベーコンについて質問します。

「そもそも、ベーコンって何ですか?」
「どんな豚を使うのですか?」
「豚によってベーコンの質のよしあしが違ってくるものですか?」
「それはなぜですか?」
「ライバル会社はどんな豚を使っているんですか?」
「豚にはどんなエサをやるんですか?」
「どうして豚のエサはトウモロコシと乳清とピーナツと残飯なんですか?」
「トウモロコシと乳清とピーナツと残飯はどこから調達するんですか?」
「どんなトウモロコシを使うんですか?」
「どんな乳清を使うんですか?」
「どんなピーナツを使うんですか?」
「どんな残飯を使うんですか?」
「それぞれ、どのくらいの量を与えるんですか?」
「それは、なぜですか?」

『アイデアのヒント』ジャック・フォスター(P.180-181)より引用

といった上司がした質問を、本書に7ページにわたってズラズラと書いています(笑)

アイデアを考える時に、「情報をあつめる」ことは大事なのだけど、ここまで情報をあつめようとする姿勢を見せられると、自分のやっている情報集めがチンケに見える。
というか、そう思わせることに、著者の狙いがあるのだろう。
ただ「情報をたくさん集めるのは大事だ!」といわれるとり、説得力があります。
広告業の人らしく、ユーモアある表現。説明が上手いなと思います。

13の半分

著者は一時期、大学で講師をしていて、学生にアイデアについて教えていたようですが、そのエピソードが面白い。その中のひとつ。

著者が、学生に13の半分は?と問います。
もちろん、学生は「6.5」と「6と2分の1」と答える。
しかし、著者はほかには?と、さらに問う。
すると、学生はうつろな目で著者をみます。

そこで、著者は学生にいうのです。

「いいか、君たちは今、『この先生おかしいんじゃないの?』と思っているだろう?『ほかに答えなんかないじゃないか。13の半分は6と2分の1か6.5、それだけだ』って。その気持ちを覚えておいてくれ。その上で、考えほしい。もっと考えて。ほかに13の半分と言えば?」

『アイデアのヒント』ジャック・フォスター(P.202)より引用

そこで、ある学生が「1と3」という。

それを突破口にして、次々と答えが出てくる。
「4」※13(thirteen)は8文字のアルファベットからできているから
「thirとteen」
黒板に13と描き、上半分を消す
などなど。

このエピソードは、アイデアの本質について語っていますね。
人はアイデア、解決策を考えようとすると大抵、「常識的な答え」を考えようとしまう。
そして、それ以外の答えなんて、ないかのように思ったりする。

仕事でも、こういう売り方でないと売れないと思い込んだり、その商品があるユーザ層しか買わないと思い込んだり、自分の会社は下請けの仕事しかできないと思い込んだり。
人生でも、よい大学に入らないといけないと思い込んだり、今の会社を辞めたら人生終わりだと思い込んだり、普通の人生でないといけないと思いこんだりと。

他に「たくさんの答え」があるのに、それが見えない。
いや、そもそもあると思っていない。
意識してないと、意外とすぐ常識的に人は考えてしまいます。

ちなみに、この話は「とにかくアイデアは数をたくさん出そう!」という内容のところのお話。
こんな講師がいたら、アイデアについてスゴイ学べそうですね。

おわり

この本はとにかくユーモアに飛んでいるので、読んでいて面白いです。

しかし、この本を読んでると「アイデアを発想する」ということは仕事だけでなく、人生にとっても大切なこと、と思えてくるから不思議です。
考えてみればそうですよね。人は生きる上で、いろんな問題と出会います。それに対し答えを探す、アイデアを考えるわけですから。

先の「13の半分」のエピソードのように、常識にしばられ「答えはそれしかない!」とか「答えはもうない…」と思い込んで、人生が行き詰まることなんて、よくあることですし。
『アイデアのヒント』という題名ですが、『人生のヒント』でもいいぐらいですね(笑)

このように、人生のヒントとしてもオススメの一冊です。

アイデアのヒント

アイデアのヒント

 

出典:ジャック・フォスター『アイデアのヒント』(阪急コミュニケーションズ、2003年)

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