『スウェーデン式 アイデア・ブック』は、アイデアに煮詰まった時に気晴らしで読みたい本です。
著者は、フレドリック・ヘレーン。
ストックホルムの自分の島に住み、スウェーデンで大人気のセミナー講師。創造性、アイデア生成、アントレプレナーシップに関するセミナーを世界中でおこなっています。
本はまるで絵本のような装いで、縦横約15cmの正方形の変形本。スウェーデンらしいオシャレなデザイン(部屋に飾ってもはえる。笑)。
内容は、主に実際にあったエピソードから、発想のヒントを紹介するような形です。
エピソードは30個あり、1つのエピソードは2~3P程度で数分で読めます。
「タイトル」「教訓メッセージ」「エピソード」「ワンポイント解説」といった構成。
例えば、1つ目のエピソードですと…
1.針を探す
答えは、ほかにもあるかの天才科学者、アルバート・アンシュタインはあるとき、「博士と、私たちのようなその他大勢との違いは何ですか」という質問を受け、こう答えました。
「たとえば、干し草の山から針を探さなくてはならないとします。あなた方はたぶん、針が1本見つかるまで探すでしょう。私は、針が全部、見つかるまで探し続けると思います」
別のエピソードも…誰かが問題の解決策を提示したとき、「別の方法はないですか」と聞いてください。おそらく…
『スウェーデン式 アイデア・ブック』フレドリック・ヘレーン(P.8-9)より引用
といった感じになります。
ですので、エピソードが主体なので、発想法を学習するというよりはアイデアのヒントを探す本となります。
アイデアに煮詰まって、新しい切り口が欲しいという時に力を発する本だと思います。
まあ、オズボーンのチェックリストを活用するのに近いものがありますね。
なので、教訓メッセージをリストにして紙に印刷し、アイデアを考える際のヒントとして活用するのもよいかも。
もちろん、そのように活用しなくても読み物として普通に楽しむのもよいと思います。
教訓メッセージは、どこかで聞いたことがあるようなものもありますが、意外性のあるエピソードが満載ですから。
個人的に下記のようなものが面白かったです。
No.3「世界初の創造性テスト」
第二次世界大戦中に爆撃機パイロットの適任者を、心理学者と元空軍司令官が個別に選ぶことに。
しかし、心理学者が選んだ知性あるパイロットは、ことごとく撃退される…
創造性の大切さをわかるエピソード。
しかし、現代の企業の人事も、撃墜される人ばっかり選んでるな(笑)
ちなみに、その失敗からその心理学者は、有名な「レンガの使い道を50個考える」というテストを思いつきます。
No.4「メタファーで表現する」
アイデア会議で行き詰まり、メタファーを変えて発想し新しいアイデアを発見。
メタファーの使い方が面白い。これはテクニックとして使えるかも。
No.16「絶対はない」
今までの時代、もう限界と思われていたことがくつがえされてきた。
今後変わらないと思うことを10個あげ、それをくつがえすアイデアを10個だすと。
人は、すぐ限界を作りたがるけど、限界と思うことが楽なんでしょうね。でも、発想する人はその甘えを乗り越えないといけないと。
No.18「アイデアメーション」
初めに思いつく3~5個のアイデアは、誰でも思いつくアイデアでアイデアじゃない。
確かに、私もデザインの仕事で、初めの1つ2つのアイデアで突き進んでしまうこともあります。特に時間がないとつい(笑)
まあ、ある程度数を出すと、ポン!といい感じのアイデア出る感じはわかりますね。
No.1「針を探す」
先に一部引用した最初のエピソードも面白い。
たしかにクリエイターもそういうタイプが多い。幸いにも私も「もっとないか?」と探すタイプかな。
他で書いているブログで、ついアレヤコレヤ追求して大量に考え書いてしまう。しかし、探求しすぎて収拾つかなくなるデメリットをかかえてます(笑)
このようにヒントとなるエピソードが目白押しです。
煮詰まった時用に、一冊側に置いてみてはどうでしょうか。
出典:フレドリック・ヘレーン著『スウェーデン式 アイデア・ブック』(ダイヤモンド社、2005年)