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『アイデアのつくり方』ロングセラーのアイデア発想法の基本

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アイデアのつくり方
『アイデアのつくり方』

アイデアをたくさんの数を出すだけなら、発想法はいろいろあるので簡単です。
しかし、アイデアは安易にただ出せばいいというわけじゃない。
下手に発想法を使うことで、「自分はアイデアを出すことができる」と勘違いし、表面的な薄っぺらいアイデアしか出せないことにもなります。

そこで大事なのは、アイデア発想の基本
基本となる考え方・プロセスを理解して、できてないといけない。
それがあって、初めてアイデアを出す力がそなわってくると思います。

その基本を学ぶための本が、今回ご紹介するジェームス・W・ヤング著『アイデアのつくり方』

私はデザインやイラストレーターの仕事もしているので、毎回アイデアを考えることをしていますが、経験から照らし合わせてもこの作り方は基本だなと感じます。

アイデア発想法を身につけるには、まずはこの本を通してアイデアの基本を身につけるべきだと思います。

『アイデアのつくり方』とは

原著は1940年から長い間、アイデアの発想法としてロングセラーとなっている本です。
本自体は驚くほど小さめの薄い本で、60分で簡単に読めます。
訳は、ちょっと昭和の古めかしい言い回しがあり、少し読みづらいところもありますが。

著者のジェームス・W・ヤングは、大手の広告代理店に勤めていて、アイデアを出すことにたけていました。
しかし、当時はアイデアの発想法というものが、技術としてあまり考えられていない時代。
そして、アイデアについて考える機会があり、公式化したものがこの本です。

内容は、アイデアを考える上での「2つの原理」と、アイデアをつくる「5つのステップ」がシンプルに書かれています。

アイデアを考える上での「2つの原理」

ヤングは、アイデアを考える上で2つの原理があると言っています。

  1. アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない
  2. 既存の要素を新しい組み合わせに導く才能は、物事の関連性を見つけ出す才能に依存するところが大きい

(1)については、最近はよく言われますよね。
何もないとこから急に何かが生まれるわけではないで、曖昧な何かを追い求める必要はありません。
ですから、既存の要素を知り、どう組み合わせるかに集中するだけです。
ヒットしたアイデアは、結局のところは既存の要素の組み合わせですから。

(2)はある意味、自分は才能がないと思っている人、またアイデアの発想法をどう鍛えればいいのかを考えている人には大事なことですね。
ただ「関連性を見つける力」を鍛えればいいわけですから。
これは意識して学習、また経験することによって、誰でも伸ばしていけます。

この2つの原理をまず、基本として理解していないといけないと思います。

アイデアを作るための「5つのステップ」

ヤングのアイデアはつくり方は、5つのステップからなります。

  1. 資料を集める
  2. 資料を咀嚼(そしゃく)する
  3. 何もしない
  4. アイデアの発見
  5. アイデアのチェック

まずその案件に関する資料を集める。
案件そのものの資料、案件に関するユーザの資料など。

そして、その資料から関係性を探る。
あっちへ向けたりこっちへ向けたり、別のものとくっつけたりなど。
そこで、気づいた点をメモしていく。
そして、その作業をしてると嫌気がさし限界がくる。

限界がきたら、考えるのをやめて関係ない他のことをする。何もしない。
すると、そのうちアイデアが閃く。

最後に、そのアイデアが実際に使えるかのチェック。
理解ある人々の批判をあおぐと。

資料を集める

資料集めは大事ですね。
何も知らないところから、アイデアを考えることはできない。

最近はビジネスでも、資料集めは普通におこなわれています。
また「ユーザに関する資料を集める」というのは、最近では当たり前ですかね。

しかし、資料集めは簡単なようで、簡単ではありません。
ヤングも書いていますが、安易な資料集めで失敗していると言っています。

そこで、ヤングはある作家が先輩から小説を書く勉強法を教わった話をしています。

パリの街頭に出かけてゆきたまえ。そして一人のタクシーの運転手をつかまえることだ。その男は他のどの運転手ともちがったところなどないように君にはみえる。しかし君の描写によって、この男がこの世界中の他のどの運転手ともちがった一人の独自の人物にみえるようになるまで、君はこの男を研究しなければいけない。

『アイデアのつくり方』ジェームス・W・ヤング(P.35)より引用

このお話は、個人的にはとてもビビッ!ときたところです。

例えば、ある製品についての資料を集めたとしても、この話のようにそれが他と違い世界でたったひとつのものと理解できなければ意味がないです。
それができてないと、表面的な資料集めしかできていないということ。

セールスだとわかりやすいですよね。
自分が売っているものが他と何が違うのか理解できていないのに、どのように売ろうかなんてアイデアを考えることはできない。
もし理解せずアイデアが浮かんだとしても、表面的なテクニックや、いつもやっている同じような方法で売りつけるだけでしょう。

このように単純に「資料集め」といっても、とても大事な工程です。

資料を咀嚼(そしゃく)する

集めた情報から何がいえるのかを考えたり、あっちこっちとパズルのように組み立ててみたりする。
関係性を意識して探る
そして、それをやっているうちにアイデアのタネや、アイデアが生まれてくると。

本では、テクニックとしてはあまり具体的には書かれていませんが、この工程は今はいろんなテクニックがありますね。
ブレインストーミング、マインドマップ、オズボーンチェックリスト、フレームワークなど。
それらを活用するのも手なのでしょう。

何もしない。そして、アイデアの発見

アイデアを考えて、考えて、考えまくって嫌気がさしてくる時がきます。限界が。
そして、それを一切考えないようにする。
考えるのをやめて、関係ないことをする。散歩してもいいし、一晩置くのもいいし。
そうすると、そのうちにピコン!とアイデアが閃くと。

アイデアをあまり考えたことがない人は、「本当に何もしないで閃くのかよ?嘘だろ」と思うかもしれません。
しかし、閃くものなのです。

私もデザインなどの仕事をしていて、毎回アイデアを考えますが、考えて考えて考えて行き詰まりを感じると、何もしないようにしてます。
経験から無理にそのまま続けても、たいしたことを思いつかないことを知っていますから。ある意味、考えるのが「時間の無駄」ですから。
すると、その何もしていない間にアイデア(またアイデアのタネ)が閃いたりします。

たしかに、その間にアイデアが思いつかないこともあります。
しかし、ある程度の間をとって気分をリフレッシュし、再び作業していると新しいアイデアが思いついたりします。

クリエイティブな仕事をしてる人で、たまに同じようにしてる人はみかけます。
また、ある有名な日本の作家の人は、1つの物語を書いて飽きたら、別の物語を書いたりして置いておくという人もいますね。

しかし、もし何も思いつかないなら、資料の咀嚼が弱いのかもしれないし、はたまたその前の資料集めの工程が甘かったりする場合もありますので、注意が必要です

アイデアのチェック

最後は、そのアイデアが実際に使えるかのチェックです。
そして本では「理解ある人々の批判をあおぐ」ようにと書かれています。

自分では「最高のアイデアだ!」と思っても、けっこう使えないことはよくあります。
冷静な他人から見たら、実はそんなにたいしたアイデアではなかったりしますし。
またビジネスだと、そのアイデアを実現しても収益がイマイチだったり、実現するには時間がかかりすぎたりといったこともありますしね。

アイデアは実行できて、目的をはたせないと意味ないですからチェック工程は必須です。

まとめ

このように2つの原理を理解し、5つのステップをふむことでアイデアをつくることができます。

要約だけをみると「なんだ、コレだけか」と思いますが、原理やステップの1つ1つにアイデアをつくる上での深い意味があります。
アイデアをつくる上では、しっかりとマスターしたい基本。
また経験によって、より意味が理解できるところもあると思いますが。

詳しくは、本書でどうぞ。他には、竹内均さんの「解説」もあり面白いですよ。
何度も見返すと新たな発見のある本です。

アイデアの技術は誰でも身につくと思いますので、この本で基本を身につけてはどうでしょうか。

アイデアのつくり方

アイデアのつくり方

 

出典:ジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』(TBSブリタニカ、1988年)

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